我が国において、自然エネルギーの代表ともいえる太陽光発電は、2012年に「固定価格買取(FIT)制度」が導入されたことで加速度的に導入が進み、2020年度末の累積で6,476万kWに達し、中国やアメリカに次いで世界第3位の導入量となっております。また、自然エネルギーによる電力量が、国内の全発電電力量の2割を超えるものとなるなか、太陽光発電による電力は、全発電電力量の1割近い値となっており、自然エネルギーでも主要な役割を果たすようになってきました。しかしながら、電力以外に使用されるものを含めた1次エネルギー全体を見た場合、いまだ、石油・石炭・LNGといった化石燃料への依存度は約88%と高いばかりか、この化石燃料のほとんどについて海外輸入に頼っているのが現状です。このような状況下で、新型コロナ感染症からの経済回復に伴うエネルギー需要の増加に加え、ロシアのウクライナ侵攻による不安定な政情が要因となり、エネルギー価格が高騰しています。このことから、エネルギーを安定して我が国で確保するためだけでなく、カーボンニュートラル宣言国の役割としても、海外からの輸入に頼っている化石燃料の活用を減らす代わりに、太陽光発電をはじめとする自然エネルギーがますます活用されるものと思われます。

ところで、太陽光発電に用いられるソーラーパネルの耐用年数は、20~30年となっています。FIT制度の導入により加速的に導入が進んだことを考慮すると、2030年代半ば以降に大量のソーラーパネルが寿命となり、2040年頃には年間約80万トンに達するソーラーパネルが廃棄されるものと予測されています。このソーラーパネルの大量廃棄の時代を迎えたときに、廃棄対象となるソーラーパネルを適切に処理しなければ、埋め立てや不法投棄などにより環境汚染の原因になります。これでは、グリーン成長戦略のための主要なツールでもあるソーラーパネルが、かえって環境問題の元凶となってしまうのです。現在、ソーラーパネルを分解処理するための技術に対する研究・開発が進み、その中には、ソーラーパネルを構成するガラスや金属といったマテリアルを不純物の少ない状態で分解できる技術も世に出てくるようになりました。このことから、私たちは、寿命となったソーラーパネルを分解することで資源化するだけでなく、元のソーラーパネルに再生することにより、ソーラーパネルによるエネルギー供給を半永久的に維持できる仕組みを構築できるものと信じております。

そこで、地球環境の保全と持続可能な開発目標(SDGs)の一端を担うことを目的とし、ソーラーパネルの適切な廃棄とリサイクルの手法を追求した上で、太陽光を中心とした自然エネルギーに基づく持続可能な循環型エネルギーシステムを確立するために、当協会を設立することといたしました。

2022年8月
一般財団法人 PVリボーン協会
代表理事 藤井 尊久