講師:特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 主任研究員 山下 紀明 様
2022年12月14日、「持続可能なエネルギー社会に向けて」をテーマに第3回セミナーを開催しました。
まず、藤井代表理事が協会設立の背景や理念、事業内容などについて紹介した後、特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の主任研究員・山下紀明氏が「地域に受容される再エネを目指して-地域トラブルと新しい可能性」と題してご講演。その後、山下氏・協会設立者の新見ソーラーカンパニー佐久本社長、藤井代表の3名が座談会を行いました。
再エネの急拡大と地域トラブル
山下氏は「再生エネルギーは環境の面のみならず、経済の面からもエネルギー転換の主流になっており、日本でも急拡大。しかし、これに伴って地方自治体や地域住民とのトラブルが増加している」と説明。一橋大学、名古屋大学、朝日新聞などと合同で実施した第3回全国市区町村アンケートの結果などを示して「2020年の時点でおよそ3分の1の自治体が『トラブルがあった』または『トラブルがある』と答えており、主な理由は景観問題、敷地内の雑草管理、土砂災害への懸念。太陽光との関連も強い」と紹介。また、「2021年12月までに太陽光トラブル報道を163件も確認したが、実態はより多い」とも指摘しました。
国や自治体の規制や調和条例
また、山下氏は、トラブルが増加している現状に対して「FIT法の改正」「環境影響評価法の対象化」「林地開発に関わる規制など関連制度の改正」といった国の政策的な対策の一部を紹介したほか、「自治体が独自に規制・調和条例を制定するケースも増えており、2022年4月時点で少なくとも145件を確認している」と説明、本来的なゾーニング(促進・抑制・禁止区域)、国と地域が連携した仕組み、事業規律を高めるルールとマーケットの力などを活用していく必要があることも強調しています。
社会的に受容される再エネを増やす
最後に山下氏は社会的に受容される再生エネルギーの事例を紹介し、「地域共生、地域活用、地域裨益、地域主導、自然共生などいった好事例を増やしていきたい」と語気を強め、「それでも発生するトラブルには、信頼される第三者組織で対応するなどの工夫も必要になる」と主張し、講演を締めくくりました。
その後、山下氏・佐久本氏・藤井代表による座談会を行い、山下氏の講演内容を深掘り。
・地域トラブル解決へ向けた事業者の役割
・ソーラーシェアリング普及への課題
・コミュニティにおけるエネルギーの自立化
などについて意見を交わしました。