講師:国立大学法人岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 亀島 欣一 教授

2月24日、「これからのエネルギーの在り方を考える『エネルギー効率化のための燃料電池の活用法』 」をテーマに第4回セミナーを開催しました。

まず、藤井代表理事が「日の丸ソーラーリボーンの実現に向けて」と題して協会設立の背景や理念、事業内容などについて紹介した後、弊協会の顧問でもある、岡山大学学術研究院環境生命科学学域の亀島欣一教授に「オンデマンド型燃料電池の開発とその活用方法」と題してご講演いただきました。

二酸化炭素排出量と発電量には相関がある

亀島教授は、大気中の二酸化炭素の存在量が400ppmを常に超えるという過去50万年で最も高い状態になっていること、日本は国土面積は小さいにも関わらず二酸化炭素排出が世界5番目(1位は中国、2位は米国、3位インド、4位ロシア)で、排出に対して責任が大きい国の一つであること、各国の二酸化炭素排出量と発電量には相関があることを紹介。エネルギー自給率の低い日本はこのような観点からも考えていかなければならないこと、二酸化炭素の削減には、電力使用量を抑制すること、代替資源・代替エネルギーの利用が鍵になることを指摘されました。

エネルギーの変換数が少ない高効率な発電手法が重要

また、亀島教授は「現在、私たちの1番重要なエネルギーは電気。エネルギー変換を繰り返して最終的に電気にしているのが現状。いわゆる旧来の火力発電などに対して、太陽電池、燃料電池は直接電気に換えられるので高効率」と説明。特に燃料電池(補充可能な水素などの燃料と空気中の酸素などを常温、または高温環境で供給し反応させることで継続的に電力を取り出すことができる発電装置)が注目を集め、家庭用なども普及し始めていて、オンデマンド型発電の典型例であることも紹介。オンデマンドで燃料電池を使えば、熱エネルギーを有効利用できるメリットも強調されました。

メタンなどを直接燃料に利用できれば、より広範な燃料電池の普及が期待できる

最後に、亀島教授のチームによる研究データを示しながら、「メタンやバイオガスなどを直接燃料に利用できればより広範な燃料電池の普及が期待でき、これまで以上に家庭や地域に密接につながるオンデマンド化されたものが作れるのではないかと考えている」とまとめられました。


その後、亀島教授・藤井代表が対談し、講演内容を深掘り。

  • 日本の二酸化炭素排出量が世界5番目である要因
  • メタンなどの温室効果ガスを直接燃料に利用するメリットや回収方法
  • 地域特性を活かしたバイオマスエネルギー利用
  • 燃料電池と熱分解装置の今後の展開

などについて意見を交わされました。